今回はmagicavoxelの基本的な6種類の描画ツールを前編・後編に分けて紹介していきたいと思います
前編であるこの記事では各描画ツール共通の操作と制作の大部分を占めるBox Mode/Face Modeについて説明します
モデリングしたいものに合わせて描画ツールを使い分けられるようになると作業効率が良くなるので覚えておきたいものです
使用ソフト:magicavoxel 0.99.5(Win 64bit版)/0.99.5.1(Win 64bit版)※SDF Brush部分のみ
各ツール共通の操作
最初に今回は紹介しないPattern Modeを含む全描画ツール共通のオプションを紹介します
Attach/Erase/Paint
Attach[ショートカットキー:T]
Attachはボクセルを追加するコマンドです
まずAttachボタンをクリックして選択します
Attachボタンが選択されている状態になったら白い枠で囲われたボクセルモデルのキャンバスをクリックしてみましょう
ボクセルが1個ずつ追加されます
今度はAttachボタンが選択された状態で白い枠で囲われたボクセルモデルのキャンバスをドラッグしてみましょう
クリックしたときとは違い様々なサイズのボクセルが追加されました
追加されたボクセルの大きさは下のコンソールバーにて確認できます
いろいろな場所をクリックやドラッグをしてみてボクセルがどのように追加されるのか試してみましょう
起動時の状態のままではボクセルモデルのキャンバスの端やボクセルに接する場所のボクセル追加は容易ですが、空中に浮いたような孤立した場所に追加することは出来ません
Erase[ショートカットキー:R]
Eraseはボクセルを消去するコマンドです
Attach同様クリックすると1個ずつボクセルを消去でき、ドラッグするといろいろな範囲のボクセルを消去出来ます
ドラッグの範囲によってはボクセルの角を落とすことも出来ます
Paint[ショートカットキー:G]
Paintはボクセルの色を塗ることが出来ます
Attach/Erase Mode同様クリックで1個ずつボクセルを塗ることができ、ドラッグで一度に多くのボクセルを塗ることが出来ます
左のpalletタブから色を1つ選んでクリックすると選択した色でボクセルを1つずつ塗ることが出来ます
別の色を選んでまたクリックすると今度は違う色で塗ることが出来ます
試しにいろいろな色で様々な範囲のボクセルを塗って実際の操作を覚えていきましょう
また、RGBカラーモード、HSVカラーモードの2種類の方法から自分で色を作成して好みの色で塗ることも可能です
実際の制作では自分で色を作って制作していくことがメインになります
Attach/Erase/Paintのツールまとめ
ボタンの名称 | 説明 | ショートカットキー (デフォルト設定の場合) |
Attach | ボクセルを追加 | 「T」 |
Erase | ボクセルを消去 | 「R」 |
Paint | ボクセルを塗る | 「G」 |
Mirror/Axis
magicavoxelの3D空間
Mirror/Axis Modeの説明に入る前にmagicavoxelの座標、x軸y軸z軸の対応関係についてみていきましょう
x軸が横幅、y軸が奥行、z軸が高さです
ボクセルモデルを制作するうえではそれだけ頭に入っていれば大丈夫です
magicavoxelでは描画ツールだけではなくありとあらゆる場面で座標を指定するため軸ごとの対応関係は知っておきたいものです
(ちなみにボクセルソフトによってはmagicavoxelでは3D空間と各軸の対応関係が異なる場合があります)
Mirror[ショートカットキー:1~3]
Mirror Modeは選択されている座標軸に対して対称の位置にボクセルの追加/消去/塗りができるようになる機能です
magicavoxelではボクセルキャンバスの中心を基準にMirror Modeが適用されます
x軸の場合左右対称、y軸の場合前後対称、z軸の場合天地対称といった具合にミラーリングできます
一度に複数の軸に対してMirror Modeをオンにすることも出来ます
左右対称のものをモデリングするときや描き出しに重用する機能です
Axis[ショートカットキー:Ctrl+1~3]
Axis Modeは選択した軸すべてのボクセルを追加/消去/塗りが出来ます
例えばx軸に対してAxis Modeをオンにした場合左右にまたがるすべてのボクセルを消去できます
キャンバスサイズを製作段階に応じて変更しながら使っていくため、操作に慣れた人向けです
後述するFace Modeの汎用性が高いため使用場面は限られてきます
Box Mode[ショートカットキー:B]
ここからは各描画ツールの紹介をします
1つ目は基本描画ツールとなるBox Modeです
クリックで1つずつボクセルを追加/消去/塗ることが出来ます
ドラッグすることで左上から右下の方向に直方体単位での描画が可能です
新機能Gizmo/SDF Blush(Box Mode+Voxel Shader)
magicavoxel0.99.5.1では新たにBox Modeに固有オプションが追加されました
右上の枠線アイコンでGizmoモードのオンオフ、</>ボタンの選択でSDF Blushの使用が可能になります
両方ともある程度操作に慣れた向けの機能ですので初心者の方はこの項を読み飛ばして構いません
Gizmoはすごい機能かもしれない説
従来のモードではボクセルを追加/消去/塗りを1手で行います
それに対してGizmoモードではドラッグでボクセルを追加/消去/塗りをした後、描画範囲を編集することが出来ます
これのどこが凄いのかというと従来は底面をBox Modeで作成したものをFace Modeで押し上げて厚みを持たせていましたが、Box Mode/Gizmoオン状態だと通常通り底面を作成した後Gizmoモードで引き上げることで同じ操作が可能になるからです
Gizmodでは上下左右前後の6方向に対して描画後の編集が可能です
矢印の根元をドラッグすることでボクセルモデルの伸び縮み/リサイズ、矢印の先端をドラッグすることで移動が可能です
編集後のボクセルの大きさや座標はコンソールバーに表示されます
SDF Blushの導入
SDF BlushはBox ModeのVoxel Shaderオプションを選択することで3D図形を描画できる機能です
あらかじめ登録されている3D図形を好きな縦横比や大きさで描画することが出来るので、使いこなすことが出来ればかなりの作業効率化が見込めるでしょう
ここでは軽く説明するだけに留めておきます
画像の内容を改めて説明します
まずは空のボクセルモデルにAttachで追加して実際の動作を確認してみるとわかりやすいと思います
- 描画ツールの中からBox Modeを選びます
- 固有オプションの部分から</>をクリックしてVoxel Shaderを選択します
Gizmoもオンにしておくとよいでしょう - 一番右のタブ(起動時はProjectタブ)から</>をクリックしてShaderタブに切り替えます
- 囲った部分から任意のボクセルモデルを選んで描画していきましょう
Face Mode[ショートカットキー:F]
2つ目に紹介するのはFace Modeです
Box Modeと合わせて制作の基本となる描画ツールです
クリックすることで選択した面を追加/消去/塗ることが出来ます
ドラッグすると選択した面に平行した形で追加/消去/塗りが可能です
例として上画像のボクセルモデルでFace Modeの操作を見ていきましょう
丸で囲った面に対してFace ModeのAttachでボクセルを追加してみます
クリックすることで面に対してボクセルが追加されました
見分けがつくようにピンクに色を変えています
次はドラッグしたときの変化を見てみましょう
ドラッグすると1度に厚いボクセルの層を追加することが出来ます
この時コンソールバー内のlayerの数字にてボクセルの厚さを確認できます
(上画像ではlayer:5と表示されているのでボクセルの厚さは5ボクセル分となります)
キャンバスの端にもFace Modeを使用することが出来ます
その場合は塗りつぶしたように端の面にボクセルが追加されます
今度はErase Modeで同じ面をクリックし続けた場合とドラッグした場合の違いを見ていきます
先程と同じボクセルモデルの右奥の面の消去してみます
Face Modeではクリックごとに消去判定が変わります
そのためひたすらクリックした場合とドラッグした場合で結果が変わる事があります
Face Mode固有のオプションは選択ツールと似ている
Face ModeにはAttach/Erase/Paint Modeに適用される固有オプションがあります
固有オプションを変更することでFace Modeによる判定基準や追加ボクセルの色を変えることが可能です
起動時はPal/Col/4の状態です
誤操作によって固有オプションが変わる事は十分あり得るので挙動が変だと思ったときは固有オプションの部分を確認してみてください
このオプションはRegion Selectと同じものです
Region Selectについて詳しく知りたい方は下の記事を見てください
パレットの色を使用するPalとクリックしたボクセルの色を使用するRaw
Face Mode一番上の行のオプションです
Palが選択された状態ではパレットで選択した色でボクセルの追加/塗りを行います
一方Rawではパレットが選択している色に関係なくクリックしたボクセルの色を使用します
パレット中で色管理を行うmagicavoxelでは多くの場合Palモードのまま使用するため重要度は低めです
色ごとに判定を行うColとボクセルの形状で判定するGeo
Face Mode中央の行のオプションです
Face Modeでの追加/消去/塗りの判定を色ごとに行うかボクセルモデル全体を対象とするかの違いがあります
水色を白の2色でできたボクセルモデルの例を見てみましょう
追加されたボクセルをピンク色で示しました
Palオプションが有効な場合は白いボクセルの部分だけボクセルが追加されます
同じ面に違うの色のボクセルがあった場合は違う色のボクセルが境目になります
バケツツールに近い感覚です
一方Geoオプションが有効な場合はボクセルの色に関係なくボクセルが追加/消去\塗られます
途中までの作業をやり直したいときに使用できます
4/8は判定対象の面の数を表す
最後にFace Mode一番下の行の数字について説明します
4もしくは8という数字は判定対象となる面の数です
4が選択されているときはクリック/ドラッグした上下左右の面がボクセル追加/消去/塗りの対象になります
8が選択されているときは上下左右に加えて4方向の斜めも対象になります
上画像の例では4が有効の場合はボクセルキャンバスの下部分のみにボクセルが追加されています
上下左右に水色のボクセルの壁がある上に斜めは判定対象外なためです
8が有効の場合は斜めの追加対象に入るため底面全体にピンクのボクセルが追加されています
後編の記事へのつなぎ/お詫び
画像の枚数が多くなったのでここで記事の区切りをつけました
後編ではピンポイントで使用できるVoxel Mode/Line Mode/Circle Mode/Pattern Modeについて紹介していきます
記事の執筆途中でmagicavoxel0.99.5.1のアップデートがされました
そのため記事投稿日時はmagicavoxel0.99.5.1リリース後ですが記事内の大半の画像ついてはmagicavoxel0.99.5の画像を使用しています
実際の操作では影響はないと思いますのでこの点についてはご了承願います
後編記事は0.99.5.1のオプション,UIにて説明したいと思います